部下や後輩を厳しく叱った次の日。どんな顔をして会えばいいの?
仕事をしていると、言いたくないことをどうしても言わなければいけない場面に直面することがあります。
なかなか仕事を覚えない部下、同じミスばかりする後輩、やる気のない新人などなど。
頭を悩ませる人材がどこにでも1人はいるものです。
私自身この年齢になって、後輩を指導する中で厳しく注意しなければならないことが何度かありました。
冷静に必要なことだけを言って終われればいいのですが、感情的になってしまうこともあります。
できない人を黙って見守るのはもどかしいですし、失敗をカバーするとなると手間も時間もかかります。
いつも尻拭いをさせられていたらストレスだってたまります。



ミスをした本人に復旧作業をさせられればいいのかもしれませんが、そうもいかないことが多いのも現実。
ミスの多い人が1人いるだけで周りの仕事が増え、本当にイライラが募ります。
ただ、だからといって感情に任せて怒りを爆発させてしまうと、その後の関係が悪くなったり気まずくなったりします。
やり方を間違えれば、パワハラ認定されて自分が悪者になってしまうかもしれません。
私は叱り方を間違えて失敗し、後輩との関係がものすごく悪くなったり、周りからパワハラ女と見られていた時期がありました。
今はその後輩ともお互いのわだかまりを解いて良い関係を取り戻すことができましたが、自分自身が本当に追い詰められましたし、何より自分の叱り方の何が悪かったのかを真剣に考えました。
というわけで今日は、部下や後輩を追い詰めずに改善させるにはどう叱るのがいいのか、そして叱った次の日はどう接するのがいいのかを見ていきましょう。
嫌なことは短く、端的に伝えて済ませる
叱る方も叱られる方も、その時間は苦痛を感じます。
お互いにとって嫌なことは、短い時間でさっさと済ませるのがベストです。
だからと言って、一発でわからせようと大声で怒鳴ったりするのは論外です。
怒鳴って何かが改善するケースはほぼないでしょう。
先日テレビで見た「人を叱るときの4つの方法」が自分の仕事の中でも役に立っているので、まずはそれを紹介したいと思います。
人を叱るときの4つの方法
- プレー(行動)は叱っても人格は責めない
- 後で必ずフォローする
- 他人と比較しない
- 長時間叱らない
平尾誠二さん(元日本代表ラグビー選手)の言葉なのですが、悩んでいた私の心にグサッと突き刺さるものがありました。
私の叱り方はこれとは真逆だったからです。
感情に任せて怒ってしまうと、この4つのポイントと真逆のことをしてしまいます。
反対に、この4つのことを守って叱ろうとすると、自分の感情を一旦忘れて冷静に叱ることができるようになります。
叱った後は、いつも通りに何事もなかったかのように接する
叱った後は気まずさを感じますが、それでも普段と変わらない態度で、何事もなかったかのように接するのがベストです。
変に気を使う必要もありません。
ただもしも部下や後輩がものすごく落ち込んでいたら、自分から声をかけたり、周りにフォローを頼んでみてもいいと思います。
最初のうちは多少気まずいかもしれませんが、仕事上必要なことだけを話して普通に接します。
そうすれば気まずさは時間の流れとともに自然に薄れていきます。
なかなか成長しない部下にも非があったはずですし、多少は落ち込んでもらうことも必要です。
自分のしたことがマズかったんだと自覚してもらわないと成長しません。
それは本人が乗り越える問題なので、こちらが気を使いすぎる必要はありません。
怒ったことを申し訳なく思う気持ちから、変に笑顔で慣れ慣れしく接するのは一番避けた方がいいと思います。
部下が反省する機会をうやむやにしてしまいます。
それに態度が一貫していない上司は、部下から舐められます。
「この人は怒りをぶちまけてスッキリすると、今度はご機嫌をとってくるんだ」と思われて見下されるのです。
感情任せに怒ってしまった場合は別の対応が必要
例えばみんなの前で部下に対して怒りをぶちまけてしまったとか、理不尽な理由で後輩を責めてしまったという場合には、別の対応が必要です。
何事もなかったかのように接しても、関係は自然と治るどころか崩れていくばかりです。
なるべく早いうちに対処しなければなりません。
部下も人間ですから、みんなの前で目立つような怒り方をされれば、恥を感じます。
理不尽な理由で責められれば、怒りが湧いてきます。
自然な感情ですよね。
それをケアせずに放置すれば、上司や先輩であるあなたに対して不信感、嫌悪感、敵対心が強まっていきます。
怒った内容がいくら正しくても、伝え方を間違えた場合は素直に謝るのが得策です。
「昨日は感情的になって、みんなの前で叱って悪かった。別の部屋に呼んで話せばよかったと思う」
「あなたのせいではないとわかっていたのに、責めてしまって申し訳ない」
と、悪かった部分について謝ればいいのです。
関係が悪化するのを防げるどころか、立場を超えて謝れる人は信頼されます。
時間が経つと切り出しにくくなるので、翌日、タイミングを見計らって伝えるのがベストです。
部下や後輩が使えないのは、自分のせいかも
私が後輩を叱って関係をこじらせたとき、考えたことがあります。
- なぜ後輩はこんなにも覚えが悪いのか
- なぜ失敗してもヘラヘラしているのか
- なぜこんなにも無責任でいられるのか
- それを叱っただけなのに、どうして私が悪者になるのか
そんなことを考えて悶々としていました。
そんな時、ある本に書いてあったことが目にとまりました。
「相手が何もできないのは、『こいつは何もできない』とこちらが思っているのが伝わっているから」
つまり相手は私が抱いているイメージの通りに行動していただけ、ということでした。
最初は「は?」と思いましたが、確かにそうかもと思える節があったのです。
後輩が何かを自力で終わらせる前に私が小さなミスを指摘したり、やり方を何度も説明して聞かせたり。
その度に後輩は「自分は信頼されていない。ちゃんと自力でできるのに」と思っていたようです。
後輩が仕事をするのを何も言わずに見守るようにしたら、機転を聞かせてどんどん仕事を進めていくんですね。
もちろん今までと同じようなミスもします。
その時は、さっきのルールを守って短く注意。
「これ間違ってたから気をつけてね」と伝えるだけ。
そうしたら今まではふてぶてしい態度だった後輩が、ものすごく申し訳なさそうに「すみません!」と言ってきたのです。
本当にびっくりしました。
このとき私はこんなことを思いました。
彼らの仕事をサポートするという意識で、まずは彼らのペースでやらせる。
ミスしたときにはフォローして、短い言葉で注意する。
そうすれば彼らの良さを潰さずに、伸ばしてあげられるのかもしれない。
後輩が生き生きと仕事をするようになって、それを見ていたら「これだけ頑張っているんだから、このくらいのミスは仕方ない。よくやっている」と思えるようになりました。
自分の心も楽になって、今はお互いに仕事がやりやすいです。
細かいところまで指導しようとすると、部下や後輩を息苦しくさせて、判断力を奪ってしまうのかもしれません。
相手のポテンシャルを見極めるためには、まず伸び伸びと仕事をしてもらう必要があるんだと痛感しました。
言っている内容が正しければ、部下や後輩もわかってくれる時が来る
怒るということは、それだけ重要なことを伝えようとしていたということです。
仕事ではどうしても失敗してはいけない部分とか、気を抜いてはいけないことがありますからね。
経験の浅い人は、怒られて初めて失敗の重大性に気づくこともあるでしょう。
言い換えれば、ミスをしても大して怒られなければ、その程度のミスだったんだと思ってしまう恐れがあるということです。
叱るときにはハッキリと叱らないと、部下や後輩の中でボーダーラインが曖昧になります。
どこまでは許されて、どこからは許されないのか、というボーダーですね。
部下や後輩が経験を積んでいく中で、上司や先輩から指導されたことの意味に気づくはずです。
私自身、細かい性格の先輩に仕事を教わりました。
正直うっとうしいときもありましたし、ここまで細かくなくてもいいのでは?と思うこともしばしばでした。
でも社会人として年月を重ねていくと、先輩に言われたことが本当に役に立つことばかりで。
仕事をしていて「よく気が利くね」「細やかなところに気がつくね」と褒められることがありますが、こういうのは全部、先輩に教わったことが自然と身についていたおかげなんですよね。
20代の頃に教わったことに感謝することが増えました。
そのときはうるさい人だと思われても、教えてあげるのってやっぱり愛情だなと思うんですよね。
だからと言って、愛情という言葉を振りかざしてパワハラをするのは論外ですが。
本当に相手の役に立つことを教えてあげるのは先輩の役目なんだと思います。
そう思うと、怒ってしまった気まずさも乗り越えやすくなりますよね。
いつかわかってくれよ〜と思いながら、次の日を淡々と過ごしましょう。
仕事をしているうちに気まずさなんて忘れますし、いつの間にか自然な関係に戻るので大丈夫なものです。
こちらがあまり気にせず一貫した姿勢で仕事をし、一貫した姿勢で接していれば、意外と関係はすんなりと元に戻ります。